東京生化学研究会 60周年記念誌
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若手研究者育成のためのヒント小川先生 ひとつのヒントとしては、審査する時に、研究者名、所属などを全部匿名にしておきます。 そして研究内容だけで審査するのが、一つの方法です。永山理事長 山中先生のiPSの研究申請も有名ですよね。 岸本さんがこんなのはどうにもならないけどちょっと面白そうだから研究費を付けたのだと。司会 あの目利きは、私はすごいと思います。池田先生 面談するような仕組みの審査を検討したら、長野先生がおっしゃるように書類評価はひっくり返るかもしれないですね。 15分でもプレゼンテーションさせて審査員が5~6人出ていて質疑するとだいぶ違うと思うのですよね。 そういう仕組みで審査をしている財団はあまりないですよね。 基盤研ぐらいのものです。司会 審査すべき案件が多すぎるのでしょうか。 当財団の研究助成で10倍の競争率ですから。池田先生 そうなのです。 審査をするのが大変なのですね。高梨常務理事 我々がやるのでしたら、時間を作ろうということはできるのですけど、公平性の観点から選考委員会の先生方にお願いするとなると、選考委員の先生方に時間を作って頂かないといけません。 これはちょっと難しいかなというのは正直あると思います。池田先生 ひとりの審査員が100課題ぐらいの審査をする財団も少なくありません。 大変ですね。 そうすると申請者の業績だけぱっと見て業績の少ない人はやめようとか、これ迄どういう論文を書いているかということに頭が行ってしまうということになり、あまりいいことではないですね。 申請内容をもう少し吟味できるといいと思うのですけれどもなかなかその辺が難しい。小川先生 とにかく既定の用紙から文字があふれんばかりに書くというのが一つの方法なのです。 私はこういう研究をやりたいのだ、と言うのは紙一杯に溢れてなければいかんものです。 そういう技術は某大学とかとても上手ですね。 大物の先生方のもすごいものです。永山理事長 大物の先生はほかでも資金調達はできるわけですよね。小川先生 そうなのです。 大変難しいですね。 でも、新しく財団の名前に創薬という冠もつきますしね。 そういう分野に少し長いスパンの研究費を出してあげるのはとてもいいことではないかなと思います。 それこそ日本発の薬を増やしたいってことになります。058

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