東京生化学研究会 60周年記念誌
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事業統合における3つのキーワードこの財団はグローバルな創薬企業であり、新薬開発で我国を牽引する中外製薬を出損会社とする財団である事から会社の理念を反映できるような事業内容を考える事が重要だという意見を皆さんから頂きました。 最初に皆さんと議論したのは、新しく事業統合する財団が発足するにあたってのキーワードについて、皆さんからご意見を頂いたように記憶しています。 最初に皆さんから「トップレベルのサイエンス」ということを重視する事、会社がグローバルな企業であるということを念頭に「グローバルな展開」を大事にしようということ、何よりもこれからの日本を支える「若手の研究者の育成」に重点を置くような財団がふさわしいのではないかと。 「トップレベルのサイエンス」「若手研究者の人材育成・教育」そして「グローバルな視点」というこの3つをキーワードに、そして今まで培ってきたTBRFの伝統、あるいは小川先生達が始められたCHAAOを更に発展させるという、その二つのものをうまく織り込んで、事業の内容を考えてはどうかという議論になったと思います。 公益財団法人として公益性を保ちながら、その3つのキーワードを満足させる事業展開をするために今までTBRF、CHAAOでやっていたものを整理しつつ新たな事業形態を提案する事としました。 それぞれの事業の中で公益財団法人として相応しくないものに関しては、また別途考えましょうという議論もあったように記憶しています。例えば先ほどお話があった日本がん患者会会議FFJCPは、製薬企業として取り組まなければいけない重要な事業ですが、公益財団法人でこれをやるということになると、色々な問題が絡んでくる。 そこで別の組織で重要検討事項として考えて頂くということで、CHAAOが行っていた患者会活動に関しては、今回の事業内容見直し後の公益財団法人事業からは取り除くということにさせて頂きました。 事業統合した財団では3つのキーワードと共に中外製薬が重視している「創薬」や「イノベーション」も重要なテーマでありTBRFの基礎研究あるいはIAAOの国際会議は必ず事業内容に含めましょうという話になりました。 IAAOは非常に重要な国際会議だと思います。 私はもともとTBRFの評議員をさせて頂いていましたが、IAAOにも途中から参加させて頂きました。 私は必ずしもがんの専門家ではないのですけれども、がんの診断・治療の新しい展開について基礎的・臨床的な視点での議論がなされ、その中で若手研究者が、先ほど小川先生からお話があったように積極的に世界のトップレベルの研究者と議論をしているのを見たときに、若手研究者にとってIAAOは人材育成の観点からも大変重要であると感じました。 世界のトップレベルの研究者・臨床医が発表するそのテーマの問題点は何なのか、まだ解決されていない点は何なのかということをあらかじめ勉強して、重要な論点を議論していました。 ああこれは若い人達にとっては非常にいい機会が与えられているなと思いました。司会 参加者を絞っている点もいいですね。 参加希望者がたくさんいるということは聞いていますが、参加者が多すぎると議論が深まらない例を良く拝見します。池田先生 そうですね。 参加者を絞るのは重要な事ですが、それと共に公益財団の主催となるとより広く意欲のある若手研究者に参加するチャンスを与える工夫も必要になってくるのかなと思います。次ページにつづく→053

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