東京生化学研究会 60周年記念誌
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小川 先生CHAAOの設立経緯について小川 先生司会 Boneフォーラムと同じように、がんに関するフォーラムができないかということがCHAAOの設立のきっかけとの事ですが、小川先生は理事長のお話から初期の段階から設立に関わられたようですが、小川先生、如何でしょうか。小川先生 最初にお話があったのは平成20年(2008年)の11月だったと思います。 永山理事長と尾形先生と話し合う機会がありまして、まず海外から演者を呼んで国際的なフォーラムをやろうという話になりました。 このようなフォーラムで成功するか否かはいかに良い演者を選ぶかというところにあります。 それでアメリカの国立がん研究所(NCI)に長くいて、マサチューセッツ総合病院(MGH)がんセンターのClinical DirectorになりましたBruce A. Chabnerを知っておりましたので彼を推薦しました。 そうしたら尾形先生もよく知っていらして、アメリカからはBruceを選んで、彼に良い研究者を発表者に選んでもらうことにしました。 たまたま12月に癌研の国際シンポジウムがありBruceと会う機会がありました。 その時の記憶では、癌研の国際シンポジウムは基礎的なことが多く、薬学その他の基礎の人を多く招いています。 そこで、中外製薬がやるとしたら臨床家つまり次世代を担うような若い臨床医を育てるためのシンポジウムにしたいと考えました。 Bruceは、癌研の国際シンポジウムを邪魔したくないということでした。 彼はそれに非常に気を遣っていたように思います。 癌研のシンポジウムは、実はNCIと学術振興会間の協定による日米がん研究協力事業というのを通じて生まれました。 私はその事業でBruceと友達になったわけでして、彼の気持ちも良くわかります。 最初の国際がんフォーラムは2010年に行われたのですが、同じ時期にパリで開催していた国際シンポジウムと重なってしまったため、Bruceは参加できず、彼の講演の録画を取るためにボストンに出かけていきました。 そこで話し合ったこととしては、とにかく新しい薬は何としても取り入れたいということと、新薬が開発されると次に初期臨床研究が始まりますが、その臨床研究の方法論が少しずつ変わってきているからそれを取り上げたい。 そして新しい分子標的薬の開発の現況を目的としようということになりました。 これはその後の海外派遣補助事業にも関係しますが、その時に彼がCancer Education Consortium(CEC)(現在の臨床腫瘍学教育研修プログラムSTOFF:Society for Translational Oncology Fellows’Forum)というのを主催していると言いまして、これはがんの化学療法の集中講義を3日間行うものであるとの事でした。 これはとても良いと思い、人数は限られるけれど、もし日本から来るならば3名の枠を取っておくと言ってくれたので、このCECに参加することもCHAAO主催の国際がんフォーラムと共に教育プログラムとして考えました。 これはかなりの語学力が必要であり、聞く能力がないとついていけません。 最初は畠清彦先生(当時:がん研有明病院血液腫瘍科長、現在:国際医療福祉大学三田病院・悪性リンパ腫・血液腫瘍センター長・国際医療福祉大学 医学部教授)と水沼信之先生(当時:がん研有明病院・化学療法科消化器担当部長、現在:水沼医院院長)という留学経験のある方を派遣したのですが、それでも「かなり難しいよ、先生」と言っておられました。 ですから、どうやってそう次ページにつづく→047

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