東京生化学研究会 60周年記念誌
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 本研究助成金制度は、前述のように出捐企業の中外製薬創業70周年記念事業の一環として、医薬品研究の新しい潮流を見据えた環太平洋研究ネットワーク構想を具現化したものの一つであり、平成7年(1995年)にその運営をTBRFが委嘱されたものである。医学・薬学に関する国際共同研究を推進するため、アジア地域から博士号を取得した若手研究者(原則40歳未満)を招聘し、わが国の大学等研究機関において、日本側受入研究者と共同で1、2年間(最長2年まで)研究に従事する機会を提供することにより、招聘された研究者の研究の進展を援助し、研究終了後は母国の大学・研究機関等に戻ることを原則としてスタートした。招聘された研究者に対して、往復国際航空券、滞在費(家賃を含めて月額32万円)、渡日一時金20万円、家族手当5万円のほか健康・傷害保険料などを支給、また日本側受入研究者に対し、共同研究助成金として年額150万円を支給している。非常にユニークなこの助成事業に対し、事業のスタートから多くの応募申請があり、平成22年(2010年)度まで16年間の採択件数は、東アジア・東南アジア・南アジアを中心に計12か国・地域から55名に及び、平成23年(2011年)以降も引き続きTBRFの目玉事業として推進してきた。その結果、令和3年(2021年)度(予定を含む)までの採択(予定)件数は、19か国・地域から累計で123名に及んでいる(詳細は資料148ページ~参照)。 採択件数の推移を表3に示す。なお、本助成金受領者の選考は、7~8名からなる選考委員会Bにおいて行われ、慎重な審査を経て候補者が推薦されたのち、最終的に理事会で決定される。 ここで一点述べておきたいのは、この事業へのアジアからの応募者の変遷である。当初は、日本で研究が終了(あるいは技術を取得)した後、その成果をもって母国へ戻り、母国の研究機関等で活躍する研究者が多かったが(本事業の趣旨に合致)、近年では研究終了後も日本に留まり、日本でさらに研鑽を積んで日本の研究機関等でのポストを希望する研究者が少なからず存在する事実である。これは、応募申請者の多くが応募以前に何らかの身分ですでに日本に滞在している事、日本学術振興会(JSPS)の外国人特別研究員との併願が多い事、またJSPS外国人特別研究員としての任期が切れるために応募してくる事等が反映していると考えられる。TBRFとして、今後この事業をどのように時代に即した形で展開していくのか検討する時期に来ていると思われる。1960-2020 TBRF-60th CHAAO-10th2010年度2011年度2012年度2013年度年度件数年度件数年度件数5件5件4件6件2014年度2015年度2016年度2017年度7件7件7件7件2018年度2019年度2020年度7件5件6件表3. 採択件数の推移(2010年度~2020年度)(3)アジア地域招聘国際共同研究助成金016

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