東京生化学研究会 60周年記念誌
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感銘を受けた公正・真摯な助成金選考過程 令和元年(2019年)より選考委員会Bの一員として、アジア地域招聘国際共同研究助成金の選考にわずか二年ではありますが活動させて頂きました。 選考委員会に初めて参加した際に印象的だったのは、大変多くの国の研究者の方々の招聘に本助成金が活用されていることでした。 日本での研究に多くの国の研究者が魅力を感じておられることが最大の要因であることに議論の余地はありませんが、その後選考過程に携わった印象としては、選考委員の方々が公正であるのはもちろんの事、多面的に偏りのないように慎重に選考されていることも大きな理由ではないかと感じました。 その国の研究者数を反映して申請数は多くなりますが、申請資料を細部まで丁寧に吟味された結果を選考委員会にて拝聴し、非常にバランスの取れた選考がなされていることに感銘を受けました。 もちろん研究提案の内容の魅力が一番であり重視されていましたが、それ以外にも、来日後にしっかりと研究に打ち込める環境があるかについて被招聘研究者の「本気度」のようなものを書類の細部から読み取られて選考されていた姿を見た時に、本助成金が長く支持されている大きな理由を垣間見た気がしました。 このような選考過程を経て選ばれた方々の研究成果を聞く機会を大変楽しみにしていたのですが、残念ながらこのコロナ禍のため任期中は助成研究報告会が二年連続で開催されませんでした。 研究成果の発表を直接聞く機会がなく退任となってしまったのが唯一の心残りですが、選考に携わらせて頂き多くを学ばせて頂いたことに御礼を申し上げるとともに(公財)中外創薬科学財団としての更なる発展をお祈り申し上げます。川邊 良樹(財団元選考委員)中外製薬(株)研究本部117東京生化学研究会60周年に寄せて

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