東京生化学研究会 60周年記念誌
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東京生化学研究会での思い出 東京生化学研究会の助成金選考委員を2011年度から8年間勤めさせていただきました。 東京駅近くの京橋にあるビルの9階で審査を行っていました。 選考委員の方々は分野を代表する錚々たる面々で、分野違いで私には理解の及ばない審査でも先生方の当を得たご指摘の鋭さを感じておりました。 石館光三先生が懐深く仕切っておられた委員会のこの雰囲気が私は好きでした。 委員会にはたいてい京都から日帰りで参加していました。 委員会後の楽しみは、近くの居酒屋で橋本祐一先生(東大定量研)と新幹線の最終まで一杯飲ることでした。 注文したお酒は全て飲み干しますが料理は食べきれないことが多く、あとを橋本先生にお任せして東京駅に急ぎ足で向かうのが常でした。 ほぼ毎回、橋本先生にご馳走になったと記憶しています。 橋本先生の江戸っ子気質にいつも甘えさせていただきました。 このような状況でしたので、委員会も終盤にさしかかると居酒屋の提灯が目のまえにチラチラ灯るようでした。 徳山英利先生(東北大院薬)とも飲み会での思い出があります。 徳山先生の委員会へのご参画を歓迎して東京駅で一杯やり、お勘定の段で財布がないことに気づきました。 委員会に忘れてきたものと思いましたが、ありませんでした。 この時、芳賀美保子さんが遅い時間にもかかわらず丁寧にご対応くださったことを感謝と共に憶えています。 東京駅近くの雑居ビルでトイレを借りたと思い出し、訪ねると財布はきちんと保管されており、現金やカードなど紛失物は全くありませんでした。東京という大都会で、さらに東京駅付近という雑然とした場所で、このような人の善意に恵まれ心暖まる思いがしました。 些細なでき事かも知れませんが、この国の豊かさが本物になってきたように思いました。 社会の健全な発展を願い継続して支援を行ってきた東京生化学研究会の活動が、このような日本の土壌を育んできたと思います。 この研究会の理念と活動に敬意を表し、60周年を機に、さらに充実した発展を祈ります。  委員を勤めさせていただきましたことを誇りに思い感謝致します。川端 猛夫(財団元選考委員)国際医療福祉大学福岡薬学部教授1161960-2020 TBRF-60th CHAAO-10th

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