東京生化学研究会 60周年記念誌
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東京生化学研究会創立60周年を祝して 東京生化学研究会創立60周年を心からお祝い申し上げます。 本財団の出捐母体である中外製薬(株)で最初に思い浮かぶのは、若い頃二日酔いの時飲んだグロンサンで、個人的にはこれが最も効いたと思っております。 この寄稿文の依頼を頂いた時、日本経済新聞に永山治現財団理事長が連載されていた「私の履歴書」を読んでいて、グロンサンは東大初代薬学部長の石館守三先生と中外製薬(株)創業者の上野十藏氏の開発されたヒット商品と知りさらにありがた味が増しました。 もう一つ私と中外製薬(株)との繋がりは、私が研究者としてスタートした頃、私達が発見した先天性ビタミンE欠乏症の原因遺伝子のノックアウトマウスを作製するにあたり、御殿場にある中外医科学研究所の鈴木宏志氏(現:帯広畜産大教授)、寺社下浩一氏(現:研究所社長)に大変お世話になった事です。 作製技術がまだ一般的でなかった時代に、最先端の技術を持ちアカデミアとの垣根のない共同研究を受け入れて頂いたことに今でも感謝しております。 さて、私は貴研究会の選考委員を2011年から6年間務めさせて頂きました。 選考過程は厳密かつ公正であり、さらに、採択研究のみならず申請研究全体のレベルが非常に高かったと思います。 研究は、分野、独創性、応用性など多次元ベクトルで表されるものですが、これを1次元で評価するのは大変な作業だと思います。 最近、低分子医薬品をantibody-drug conjugateで導入して充分効果がある事や、不安定なmRNAも化学修飾すれば蛋白質発現の良いツールになる事など、若い頃学んだ常識を覆す医薬品が続々と開発されています。 日本では「アカデミア発創薬」がなかなか成功しないと言われています。 前述の「私の履歴書」に、新薬シーズを求めて米国の大学を訪ねた際「学長、学部長、教授ら十数人が会議室で待ち構えていて"何でも聞いて下さい"という」との記載を見まして、まさに日本のアカデミアへのヒントだと思いました。 貴財団が、基礎研究のみならずアカデミア発創薬の発展など幅広く貢献される事を期待しております。新井 洋由(財団元選考委員)医薬品医療機器総合機構(PMDA)理事・審査センター長東京大学名誉教授113東京生化学研究会60周年に寄せて

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