東京生化学研究会 60周年記念誌
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「生化学」は生命科学の基本 (公財)東京生化学研究会の創立60周年を心よりお喜び申し上げます。  平成22年(2010年)12月に本研究会の創立50周年記念式典が開催され、当時日本生化学会会長であった私は祝辞を述べさせていただきました。 それからあっという間に10年が過ぎた今、世界はCOVID-19のパンデミックに襲われ「感染症」の脅威を改めて認識しています。 そして感染症だけではなく健康に関わる様々な問題を生命科学で解決して行く事が求められています。 「生化学」はあらゆる生命科学の基本となるものであり、薬剤の開発においてその知識と技術の発展は必要不可欠なものです。 最近大学では「生化学」をしっかりと教室名にする研究室は珍しくなりつつあります。 その中で本研究会は「(公財)東京生化学研究会」と明確に生化学の重要性を示して下さっている事は極めて重要なことと考えています。  私はアジア地域招聘国際共同研究助成金の選考委員を勤めていましたが、本研究会はグローバルな視点を持ち、すでに平成7年(1995年)からこの助成プログラムを開始されました。 特に他の同様な助成財団と大きく異なる事はその受け入れ研究者にも研究費をサポートし、実質的な研究の推進を図って下さっている事です。 この様に心のこもった研究助成がアジアにおけるわが国への高い評価につながっていると強く感じております。 創設当時の本研究会住所は豊島区高田3丁目41-8なのですが、ちょうど道を隔てて前にあるのが私の母校である豊島区立高田中学校です。 このようなご縁を大切にし、さらに我が国の生化学の発展に努力して行きたいと考えています。 以上、(公財)東京生化学研究会のこれまでの生化学研究に対するご支援に深く感謝致しますとともに、さらなる発展を心からお祈りするものであります。北 潔(財団元評議員、元選考委員)長崎大学大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科教授・研究科長東京大学名誉教授107東京生化学研究会60周年に寄せて

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