東京生化学研究会 60周年記念誌
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東京生化学研究会60周年に寄せて 薬物治療並びに新規医薬品の創製に関する基礎的及び応用的研究を助成してきた(公財)東京生化学研究会が60周年を迎えられましたこと、心からお祝い申し上げます。 平成6年(1994年)度から平成15年(2003年)度まで評議員、平成16年(2004年)度から平成27年(2015年)度まで理事を務めさせていただき、1994年度から2010年度までは研究助成金・奨励金の選考委員として、15年以上も当財団に関わってきた私は、理事退任後も毎年助成研究報告会に参加させていただいています。 現在は当財団の事業となった(一社)中外Oncology学術振興会議(CHAAO)の第5回 JCA-CHAAO賞を平成17年(2005年)に首藤紘一東大名誉教授らと共同受賞し、その10周年記念誌には、本年7月に急逝された受賞代表者の首藤先生に代わって寄稿させていただいています。 平成6年(1994年)当時の常任理事は岡田正志先生で、選考委員会などが終わると、財団事務所のあった京橋から歩いて数分の先生ご贔屓の中華料理店「銀座アスター本店」での食事会が定例でした。 当時、浜松医大に単身赴任していた身には、岡田先生や委員の皆さんと歓談しながらの夕食会は毎回楽しみでした。 研究助成の対象は、その時代の最先端分野の課題であったため、薬学や基礎医学の研究が採択される傾向にあり、臨床研究者の目で見た評価と必ずしも一致しませんでしたが、橋本嘉幸先生が臨床分野の研究をしばしば応援してくださったことなどを懐かしく思い出します。  今年度から「特別研究助成金」が新設されるなど、研究助成金総額が増えているようですが、非常に高い倍率を勝ち抜いて採択された優秀な課題は、既に文科省などからの助成金を獲得している場合がほとんどでした。 埋もれている独創的な研究をどう掘り起こせばベストなのか、苦慮しながら選考に臨みましたが、もっと助成金総額が多ければ解決されるのにと、残念に思ったことも多々ありました。  当財団が、60年という歴史と伝統を持つ民間の研究助成機関として、地盤沈下しつつあるわが国の研究環境を今後も支えてくださることを願ってやみません。大野 竜三(財団元理事、元評議員、元選考委員)愛知県がんセンター名誉総長1041960-2020 TBRF-60th CHAAO-10th

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