東京生化学研究会 60周年記念誌
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馬齢を重ねること20年!一民間企業(中外製薬)が、公益財団法人黎明期にいち早く東京生化学研究会(TBRF)を設立し、60年にも渡りそれを維持し、財団としての使命を果たし続けてきたことに祝意を申し上げると共に敬意を表する次第です。 当初は自前の研究所にて、医学薬学の基礎研究者の養成をしていましたが、時代の流れに応じて、ある時期から主に研究助成を通じて多くの基礎研究者を育ててきました。 なかでも、発展途上国の若手研究者を招聘・生活費を支給し、日本の研究指導者のもとで研究させるというユニークな制度は、東南アジアにおける創薬を目指したライフサイエンスの基礎研究発展に大いに役立ったことと思われます。 その恩恵を受けた者の一人としてここに謝意を表します。 50周年記念誌に記載されているように、TBRF創立は中外製薬社長の上野十藏氏が、日頃抱いていた社会還元精神に基づき、グロンサン(石館守三東京大学薬学部初代学部長の発明による)発売で伸びた売り上げを元手に始めたとされています。 そのことから、現在でも中外製薬の寄付金(年間4億円)によりTBRFの運営は成り立っています。 筆者は、評議員(平6~平13)、および理事(平18~令1)としての20年間、東京生化学研究会(TBRF)の運営状況の一端を間近に見させていただきました。 理事会の冒頭に、国際経験豊かでユーモア精神に溢れた永山治理事長から、中外製薬の経営状況の現況説明があり、ここ数年の好業績について説明する理事長の弾んだ声が思い出されます。 このように本財団の先行きは明るく思われますが、筆者の懸念と願望は、昨年度、がん治療のための臨床研究及び研究者養成に助成をしてきた同規模の社団法人(CHAO)との合併により新たな公益法人TBRFが誕生したことです。 同じ中外製薬が支援する法人とはいえ、公益財団法人と一般社団法人とは水と油のような部分もあります。 新生なったTBRFが、流石TBRFであると認められるように運営して欲しいと願う次第です。 今井 一洋(財団元理事、元評議員)武蔵野大学薬学研究所客員教授103東京生化学研究会60周年に寄せて

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