東京生化学研究会 60周年記念誌
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生命科学の発展と共に (公財)東京生化学研究会が60周年の還暦を迎えるとのこと、「生化学」という言葉すらあまり馴染みがなかった時代から長きにわたり膨大な数の研究を支援し続けてこられたこと、あらためて感謝申し上げます。 私は平成30年(2018年)より選考のお手伝いをさせていただいておりますが、評価が定まっていないような萌芽的な研究分野などから公募テーマを毎年設定し、挑戦的な研究領域の奨励や支援に積極的に取組んでこられたことは、この財団の特筆すべき点だと思います。 しかしながら、この2年に渡るコロナ禍の影響が本事業に大きく陰を落としたことは言うまでもありません。 コロナ禍以前は研究助成金、研究奨励金等に数多くの優れた応募があり、頭を悩ませながら選考に臨んでおりましたが、最近の特に海外からの招聘や派遣等に関しては、計画はするものの実行は叶わず大きなブレーキとなっているなど、たいへん残念に思う次第です。 感染症の怖さとその影響の大きさを実感する一方で、今回のパンデミックに対してワクチン製造や治療薬の開発など、その迅速な国内外の対応は科学の発展による大きな成果であり、本財団が発足した当時に比べれば目を見張る進歩ではなかったかと想像します。 ワクチン一つ取り上げても、その背後にはウイルスの単離、ゲノム配列の解読、mRNAの化学合成、ワクチン手法など、過去の数多くの研究成果が蓄積されていたからこそ為し得たことであり、まさに本財団が目指した目的の一つではなかったかと確信しております。  60年間というまさに生命科学の黎明期から基礎研究を幅広く支えてこられた先駆者として、これからも生命科学研究の発展を見守っていただきますようお願い申し上げます。山本 一夫(財団現選考委員)東京大学大学院新領域創成科学研究科教授099東京生化学研究会60周年に寄せて

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